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”100冊読んだら僕絶対本好きになるのでそこまで頑張って欲しい。" 又吉直樹「火花」第153回芥川賞受賞会見

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火花 (文春e-book)

火花 (文春e-book)

司会者:では、又吉さん。最初の一言を何か感想をお願いします。

又吉:凄いびっくりしたんですけど、嬉しいです。ありがとうございます。

司会者:それでは、質疑応答に移らせていただきます。それでは、真ん中の奥。その隣の方。

ナガオカ:毎日のナガオカと申します。まず、受賞おめでとうございます。

又吉:ありがとうございます。


ナガオカ:今回、芥川賞受賞ということなんですけれども、敬愛してやまない太宰治先生が欲しくて仕方がなかった芥川賞を受賞された。これについて、どう思われるのか。
そしてもう1つは、すいません、もう1つ。今回芥川賞受賞されてこれだけたくさんの人が、まぁマスコミ来てて恐らく明日からずっと注目されると思います。その中で今後、又吉さんの作品を読んで文学の世界に入っていきたいと。つまり、太宰に憧れたように入っていきたいと思われる若い人なんかもいるかと思いますが、そういう人へのメッセージと2つお願い出来ますでしょうか。

又吉:僕、小説を読み始めたのが芥川と太宰から読み始めたんで、太宰が芥川賞とれなくて川端康成に手紙書いたとか色々聞いていたんですけど。その状況と今の時代も全然違うんでどうかわからないんですけど。
いつもテレビで太宰好きとか勝手なこと言うて、凄くたまにね申し訳ない気持ちになって。テレビで勝手に言った時はちゃんと三鷹の方にお墓参りに行くようにはして。今月はもう2回か3回ぐらいは行ったんですけど。
僕の小説読んでというよりも、面白い小説が本当にたくさんあるんで、好き嫌いありますからね。僕の小説で全然合わない人で、他の人の小説で面白くて「なんか書きたい」とかなる人もいると思うんで、僕の読んで合わへんかったから「小説読むんやめよ」ってなるのだけは、その責任だけはどうか皆で背負っていきたいというか。僕でジャッジしないで欲しいというか。
1人目で読んでいただけるのは嬉しいですけど、100冊読んだら僕絶対本好きになると思うんですよね。
最初2、3冊の時難しくてちょっとわからんやつもあるんですけど、100冊読んだら絶対好きになると思うんでそこまで頑張ってもらいたいですね。

ナガオカ:ありがとうございます。

司会者:よろしいでしょうか。じゃぁ、そちらの女性の方。

ハラモト:テレビ朝日モーニングバードのハラモトと申します。まずは、おめでとうございます。

又吉:ありがとうございます。

ハラモト:今、金屏風の前に座っていらっしゃるんですが、又吉さんの作品の中に確かこういった台詞があります。「万事整った環境になぜ僕たちは呼ばれたのだろうか」という言葉があるんですけれども、今その金屏風の前に座っていらっしゃる、整った環境にいるご自分のお気持ちを教えていただけますか。

又吉:嘘みたいな感じですけど、似合ってますかね、金屏風。

ハラモト:少し戸惑っていらっしゃるような表情にみえるんですが。

又吉:中々こんだけ緊張することは、無いですね。

ハラモト:そして今回ダブル受賞ということですが、この辺りはどう思われますか。

又吉:凄く嬉しいです。先ほど羽田さん、色んなとこで火花紹介していただいて。
やっぱりプロの作家さんが、ちゃんとというか偏見無しに扱っていただけることは凄く嬉しいことですね。

ハラモト:最後にもう一点だけよろしいでしょうか。先ほどからも芥川龍之介に憧れて小説を読み始め、小説家になられたということを、おっしゃっていたんですけれども。もし、この受賞を芥川龍之介が聞いたら、どんな言葉をかけてもらいたいなと思いますか。

又吉:芥川は恐らく僕みたいな髪型のやつ嫌いやと思うんですよね。ベートーベンのことを天才ぶってるみたいな風に書いてるのがあって、それが凄い印象深いんですよね。
ベートーベンは僕あれでいいと思ってたんで。顔の表情と髪型おうてるなと思ってたんですけど、それぐらい凄い厳しい一面を持ってる。
でも言われてみると、そうなんかなとも思わす説得力ある方なんで、恐らく「嘘つけ!」って。僕のこの髪型、又吉のこの感じを「お前やってるんちゃうか」みたいなことを言われそうな気はします。

ハラモト:褒めてはもらえないと。

又吉:そうですね。

ハラモト:褒めてもらう自信はいかがでしょう。

又吉:褒めてもらう自信。

ハラモト:芥川龍之介に。

又吉:いやいや、それは無いですね。

ハラモト::ありがとうございました。

司会者:続いて、じゃぁお隣の方。なるべく質問を簡潔にお願いします。

ゴトウ:朝日新聞のゴトウと申します。このたびは、おめでとうございます。

又吉:ありがとうございます。

ゴトウ:吉本興業から初めてということで、お笑いの世界からも。作品自体が芸人さんの世界を描いた一面もあると思うんですけれども、その世界では「お兄さん」・「兄さん」とか「師匠」とか又吉さんにもいっぱいいらっしゃるわけで。
そういう方々からひょっとしたらこれから、又吉さんは「先生」と呼ばれることもあるのかしらとか思うんですけれども。その辺りは、ご自身で考えてることとか先輩にどういう風に報告しようかなっていうのがあれば教えていただきたいなと。

又吉:皆さん僕のことをちょっとふざけて「先生」みたいな呼ぶケースあると思うんですけど、本気で「先生」って呼ぼうとしてるのは多分、相方の綾部だけやと思うんで、その辺は安心してるんですけど。
色んな先輩が声かけてくださって、「読んだで」とか言ってくださるんで、それは本当に感謝してます。

ゴトウ:ありがとうございました。

司会者:続いて、どなたか。じゃぁ、そちらのグレー、ひげの方。

デイリースポーツ:デイリースポーツですけども、今の質問と少し被るかもしれないんですけども。
今後これを受賞してしまったことで、芸人としてやりづらくなるとか、不都合が生じるんじゃないかと思うようなことが無いのかなということ。

又吉:注目していただくのは芸人とっては凄いありがたいことなんで、不都合は今のとこ感じて無いのと、コンビでやってるんで不都合は無いと思います。

デイリースポーツ:綾部さんとは受賞した後何かコミュニケーションてのは取られたんですか。

又吉:綾部は今仕事中らしくて、でもコメントはくださったみたいで。くださった、敬語使ってしまいましたけれども。まぁ、なんか、はい。いただきました。

司会者:よろしいでしょうか。それでは、あちらの女性のメガネかけてる方。

ヒラノ:又吉さん、おめでとうございます。

又吉:ありがとうございます。

ヒラノ:フジテレビとくダネ!のヒラノと申します。お世話になります。
芥川賞ということで、ノミネートされた辺りから多少の自信というものはいかがだったんでしょうか。

又吉:候補にしていただけると連絡貰った時に、凄い驚いたのと嬉しかったのと、あぁ呼んでいただけるんだっていうので、正直自信は無かったですね。

ヒラノ:多少はどうですか。

又吉:いや、無かったですね。

ヒラノ:ゼロ?

又吉:ゼロでしたね。
でも、ゼロですとは言っていたんですけど今日とかも朝からなんかちょっと緊張したりしてたんで、もしかしたらちょっとどっかには期待してた部分があったのかもしれないです。


ヒラノ:作品を書き始めて、書く前と書いた後でご自身でお気持ちの部分で変わったこと、あるいは生活も変わったということがあったら教えていただけますか。

又吉:小説を書く前は凄く怯えてもいたんですけど、急に書きたくなって書いたんですけど。
書いてる時は凄く楽しかったですね。だから、面白いんやなって。広い表現というか、色んなことが出来るんやなぁっていうのが凄く感じました。
生活の面では、小説が凄い注目していただいて色んなとこで取り上げていただいて、街歩いてても「火花読みましたよ」とか声かけてくださる方が多いんで、今までの「死神、死神」って言われてた感じとちょっとなんか変わったかなという感じですね。

ヒラノ:これからそうすると、お笑いと作家とゆう部分では比重はどのような形にしていけたらという風にお思いでしょうか。

又吉:今まで通り芸人とりあえず100でやって、それ以外の時間で書くっていうのをずっとやってきたんで、その姿勢みたいなもんは崩さんようにしようと思ってます。

ヒラノ:それは、どうしてですか。

又吉:それが一番どちらにとってもいいと思うんですよね。納得いかれてないかもしれません。
今まで通りちゃんとライブを毎月やってるんですけど、それやりながらそこで生まれてきたものとか気づくこととか、お笑いで表現出来ひんこととか、コントで出来ひんこととか、そういうものがそのまま小説にはならないんですけど、どっかに残ってて。
それが文章書くときも一歩目になることが多いんで、凄く必要なことなんです。

ヒラノ:次は書きたいものというのが、どこかにあったりするんでしょうか。

又吉:書きたいなっていう気持ちは本当にありますね。結構な時間今僕ら2人で喋ってますけど(笑)。

ヒラノ:すいません。ありがとうございました。

又吉:いえいえ、ありがとうございます。

司会者:続いて一番前列のメガネの方。

タカハシ:ニコニコのタカハシです。受賞おめでとうございます。

又吉:ありがとうございます。

タカハシ:まず、ニコニコ動画ご存じでしょうか。

又吉:知ってます。

タカハシ:ありがとうございます。ではですね、今この生放送をですね拝見している視聴者の方々からですね寄せられた質問を、代読したいと思います。
岩手県30代の男性他ですね、かなり多数の方から寄せられているんですけれども。作品を書こうと思ったのはいつ頃で、それはきっかけとしては何があったのでしょうか。すいません。小説、火花についてということで。

又吉:小説書いてみませんかっていう声をかけていただいたっていうのが、大きい理由としてありますね。あとは、急にテンション上がったというか、例えが難しいんですけどジャッキーチェーンの映画見た翌日に階段を走りながら駆け上がりたい衝動に駆られる時ってあるじゃないですか。あの感じなんですよね。
ちょうど西加奈子さんのサラバを読んで、無敵になったような気持ちが湧いてきて、それで書けたってのはあります。

タカハシ:ありがとうございます。

又吉:ありがとうございます。

タカハシ:くしくも前回、西加奈子さんはサラバで直木賞を受賞されている方なんですけど、何かコメント等あれば。

又吉:サラバは凄い面白い作品で、大好きな作品です。

司会者:ありがとうございました。じゃぁ、その前の。

ナリアイ:新文化通信社のナリアイと申します。受賞おめでとうございます。

又吉:ありがとうございます。

ナリアイ:今回の初出の文學会は大増刷に結び付け、そして単行本においても非常に10万20万という初版。そして現在聞くところによると、64万部まで単行本がいっていると聞きました。今回の受賞の効果でですねミリオンも狙えるところにあるんじゃないかと思うんですが、100万部というところについて何かイメージというか、そういうところがあれば。

又吉:小説書いてる時は、もちろんそんなイメージは実はなくて、自分で作品に向き合って書いてたんですけど。書き終わるとやっぱりせっかく書いたんで色んな方に読んで貰いたいってのがあるんで、どんどん読んでもらって。
さっきも言ったんですけど、僕の読んでそっからまた、なんか別のやつも読んで本好きな人が増えたら、また楽しくなるなと思いますね。
火花、若手芸人のことに触れてるんで。劇場に凄い多くの芸人がいるんで、劇場にも来て貰って、全体的にそういうお笑いとか文学、音楽も演劇もそうですけど。そういうのがどんどん盛り上がっていけばいいなという風に思っています。

ナリアイ:ありがとうございます。

司会者:じゃぁ、前列の。

ウエノ:共同通信のウエノです。このたびは、おめでとうございます。

又吉:ありがとうございます。

ウエノ:又吉さんのお笑いの方は話す芸で、小説は書く芸。話す芸と書く芸という違いはあると思うんですが、又吉さんが表現者としてそれぞれで感じている、自由なところと不自由なところを教えていただけないでしょうか。

又吉:お笑いで不自由なことって言ったら、なんでしょうね。お笑いもわりと何やってもいいていうのはあるんですけど、めちゃめちゃ子どもみたいなこというと、自分が2人とか3人に瞬間的になれたりとか、そういうことが出来たら幅が広がるなっていうのがあって。
やっぱり人間なんで、自分の体と声これでやるしかないっていうのが、ライブでいうと。でも映像とかでいうと、それももしかしたら出来るかもしれないので、そんなに不自由は無いのかなと言いつつもどうなんですかね。
言うたらあかんこととか、人によって感じ方が全然違うんで、そこは両方そうですよね。小説もやっぱり同じもの書くんですけど、読む人はみんな違うんで、そこはそれぞれ。あとは、お笑いの場合はすぐに、お客さんが笑ってへんなとか思ったらやり方変えたり。まぁ、今誰も笑ってませんけど。
でも小説の場合は、変えれないですもんね。書いてもうたものが、そのまま読まれるんで、そこの違いはあるなと思います。

司会者:じゃぁ、そろそろ最後の質問にさせていただきたいと思いますが、まだ質問。じゃぁ、その横の。

イタガキ:朝日新聞のイタガキと申します。どうも、おめでとうございます。

又吉:ありがとうございます。

イタガキ:以前、取材させていただいた時に、小さい頃から自分の頭の中で独り言が溢れてしまって、自分は異常なんじゃないかという風に思ってたっていう風におっしゃってたんですけれども。
先ほど、芸人も続けていくってことでライブとかもしながら、そこでどっかで残ってるものが文章を書く第一歩になるという風におっしゃったんですが。
その残ってるものっていうのは、自分の中の頭の中で独り言になっちゃうことと何か関係がありますでしょうか。

又吉:独り言というか、一人で考えてることですか?

イタガキ:考えて残っている、人にも言わなかったこととか、自分の中で抑えられなくなったことと書くことっていうのが、何かリンクしてるんでしょうか。

又吉:割と近いですね。散歩しながらとか、走ったりしてる時に頭ん中に色々言葉が出てくるんですけど。それはもうなんでもないようなことなんですけど、そこから文章を書いたりすることはよくありますね。

司会者:よろしいでしょうか。どうも、ありがとうございました。皆さんご質問したいとは思いますが、そろそろ時間が押してまいりますので、これくらいにしたいと思います。
最後に何か一言ございますでしょうか。

又吉:本当にたくさん集まっていただいて、ありがとうございます。まだお読みで無い方がいらっしゃいましたら、ぜひ読んでみてください。ありがとうございました。

火花 (文春e-book)

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